Adam Smith『道徳感情論』(The Theory of Moral Sentiments)

■ 目次

0. 「学問のすすめ」から 1. なぜ今、道徳感情論なのか 2. 理解の目的 3. 学習の進め方 4. 書籍の概要 5. 構成と重要概念 6. 具体的な応用例 7. 学習メモ・気づき

Adam Smith (1723-1790)
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■ 「学問のすすめ」から

『愚民の上に苛き政府あり』 学問のすすめ 福沢諭吉 「西洋の諺に『愚民の上に苛き政府あり』とはこのことなり。 こは政府の苛きにあらず、愚民のみずから招く災なり。 愚民の上に苛き政府あれば、良民の上には良き政府あるの理なり…」 ・ 「西洋の諺」に該当する当時のものが、どうもないらしい。 ・ 上記の直訳にこだわらない前提で、Copilot と相談して、概略、次のように現代風の表現を考案: “A foolish people calls forth a harsh government.” “A foolish people brings about a harsh government.” ↓ “A foolish people attracts a harsh government.” ↓ “A foolish people invites a harsh government.”(最終的に、この案を採用)

■ 倫理学の発展史における道徳感情論

【倫理学の段階的発展】 ・ 古代ギリシャ:アリストテレス『ニコマコス倫理学』(紀元前4世紀) - 徳倫理学の基礎 - 幸福(エウダイモニア)と徳の概念 - 人間の本性に基づく倫理 ・ 啓蒙時代:デイヴィッド・ヒューム『人間本性論』(1739-40) - 感情を道徳判断の基礎とする - 理性は情念の奴隷である - スミスの直接の先駆者 ・ アダム・スミス『道徳感情論』(1759)← 【本書】 - 共感(Sympathy)を中心概念とする - 「公平な観察者」による道徳判断 - 経済と倫理の統合 ・ イマヌエル・カント『道徳形而上学の基礎づけ』(1785) - 理性に基づく普遍的道徳法則 - 義務論的倫理学 ・ 19世紀:功利主義(ベンサム、J.S.ミル) - 最大多数の最大幸福 ・ 20世紀以降:多様な展開 - ロールズ『正義論』、応用倫理学、徳倫理学の復興 【物理学との類似性と相違】 ・ 類似:段階的な精緻化と概念の拡張 ・ 相違:物理学では古い理論を「包含」するが、 倫理学では異なる学派が「並存」し発展
重力に関する認識の発達 ― 精緻化と拡張

■ なぜ今、道徳感情論なのか

【国際社会における倫理の欠如】 ・ プーチンのウクライナ侵攻(2022年~) - 主権国家への武力侵攻 - 国際法の無視 - 民間人への攻撃 ・ 習近平政権下の中国 - ウイグル、チベット、香港への抑圧 - 台湾侵攻の可能性 - 「一つの中国」原則の強要 ・ 中東問題 - イスラエルのガザ侵攻 - 複雑な歴史的経緯と現代の暴力 → 問い: 国家指導者の倫理的判断はどのように形成されるのか? → 問い: 国際社会における「道徳」は可能なのか? 【身近なコミュニティにおける公共心の衰退】 ・ 自治会・町内会の役員引受が敬遠される - 個人の負担感 - 「誰かがやってくれる」という期待 - 共同体への責任感の希薄化 ・ 地域社会の設計 - 家族、地域コミュニティ、同期会、国 - それぞれのレベルでの倫理と責任 → 問い: なぜ人は公共の利益のために行動するのか/しないのか? → 問い: 自己利益と公共の利益はどう調和するのか? → 実践としてのサイト構築 - つくば市 観音台コミュニティのページ - CI構想 目次 【経済と倫理の分離の問題】 ・ アダム・スミスは「経済学の父」として知られるが - 『国富論』(1776) より先に『道徳感情論』(1759) を著した - 経済活動の基盤には道徳的感情がある ・ 現代経済における倫理的課題 - 正規雇用・非正規雇用の問題 - 格差の拡大 - 短期的利益追求と長期的視点の欠如 → 問い: 経済活動は道徳と切り離せるのか? → 問い: 「見えざる手」の前提となる道徳とは何か? 【愚かな指導者を選出しない社会の設計】 ・ プーチンの愚策からの帰結 - 愚者の発生は避けられない - しかし、愚者を指導者に選出しないことは可能 ・ 民主主義における判断力 - 有権者の道徳的判断力 - メディアリテラシー - 正確な理解に基づく意思決定 → 問い: 道徳的判断力はどのように形成されるのか? → 問い: 「公平な観察者」(Impartial Spectator) の視点をどう育むか? 【集団的知性 vs 集団的愚かさ(CI vs CS)】 ・ CI (Collective Intelligence) 構想の文脈 - 個人の知識・理解を深めることを通して、集団としての知性を高める - 参照:CI構想概要 ・ CS (Collective Stupidity) の危険性 - 個人の知識・理解が浅いまま、集団としての愚かさを増幅 - プーチン、習近平の問題は CS の極致 ・ 気候変動対策の失敗が示すもの - 「沈没寸前の船」に例えると: → 全員が状況を理解すれば、喧嘩している場合ではないとわかるはず → しかし現実には、全員が正しく理解することが困難 → 影響が顕在化していない地域では危機を理解しにくい → 否定する人さえ存在する - 結果:もう手遅れの状態 → できることは「沈没した船の中で少しでも快適に過ごす方法」 → 元の状態に戻すには200年以上かかる ・ 道徳感情論が貢献できること - 人類を滅亡から防ぐ - 同じような集団的過ちを繰り返さない - 個人の理解を深めることで集団の知性を高める基盤 → 問い: なぜ人間は「正確な理解」に至れないのか? → 問い: 共感(Sympathy)は正確な理解を助けるのか? → 問い: 個人の道徳的判断が、いかに集団の知性につながるのか?

■ 理解の目的

【本荘康生さんとの対話における目標】 ・ 2026年の対話テーマ:倫理を基軸とした対話 ・ 月1回のペースでの継続的な議論 ・ 探求したいこと: 1. 人間の道徳的判断の基礎 2. 共感(Sympathy)の役割 3. 自己利益と他者への配慮の関係 4. 社会制度と道徳の相互作用 5. 「正確な理解」に至るための条件 6. 一対一のコミュニケーションの重要性 【個人的な学習目標】 ・ アダム・スミスの思想の全体像を理解する - 『道徳感情論』と『国富論』の関係 - 経済学と倫理学の統合的理解 ・ 現代の問題への応用 - 国際政治における倫理 - コミュニティの設計原理 - 経済政策の道徳的基盤 - CI構想への貢献:集団的知性を高めるための基礎理論の理解

■ 学習の進め方

【情報過多を避けるための原則】 ・ Copilotは「なんでもよく知っている」が、それが逆に焦点を失わせる危険がある ・ 情報の洪水は「正確な理解」を妨げ、CS(集団的愚かさ)につながる ・ 重要: 常に「今、集中すべきこと」を明確にする 【現在の焦点】最優先事項Phase 0: 準備段階(2025-12-29) ✓ PDFの入手と抽出環境の整備 ✓ 問題意識の整理 ✓ 参照ページの作成 → 完了 □ Phase 1: 共感(Sympathy)の理解(2026年1月)【今ここ】 □ Part I, Section I, Chapter I を精読 - 共感とは何か - なぜ共感が道徳の基礎なのか □ 自分の言葉で説明できるようにする - 1-2段落程度の要約 - 具体例(プーチン、自治会など)への適用 □ 本荘さんとの対話準備(2026-01-08) - 3つの問いを用意する - 自分の理解の不確かな点を明確にする □ Phase 2: 公平な観察者(Impartial Spectator)(2026年2月以降) □ Part III, Chapter III を精読 □ 内なる良心のメカニズム □ 自己判断と他者判断の関係 ※ 今は深入りしない。Phase 1に集中。 □ Phase 3以降 □ 正義と善行(Part II, Section II) □ 自制心(Part VI, Section III) □ 全体の統合理解 ※ 順序は学習の進展に応じて調整 【学習のルール】 1. 一度に1つの概念に集中する - 複数のPartを同時に読まない - 1つの概念を理解してから次へ 2. 必ず「自分の言葉」で表現する - Copilotの説明をコピーするだけではダメ - 自分で書いてから、Copilotに確認を依頼 3. 具体例で確認する - 抽象的な理解だけでは不十分 - 現代の問題(ウクライナ、自治会など)に適用できるか 4. 不明点を明確にする - わからないことを曖昧にしない - 「何がわからないか」を言語化する 5. 対話前に準備する - 本荘さんとの対話の1週間前には準備を開始 - 質問を3つ用意する 【進捗の記録方法】学習メモ・気づき セクションに日付とともに記録 ・ 各Phaseの □ を ✓ に変更していく ・ 理解度マーカー: [未読] → [読了] → [理解] → [応用可能] 【Copilotとの対話の工夫】 ・ 質問する前に、このページの「現在の焦点」を確認 ・ Copilotに「Phase 1に集中したい」と明示的に伝える ・ 情報が多すぎると感じたら「簡潔に」と指示 ・ 定期的に「理解の確認」を依頼(要約、具体例の適用)

■ 書籍の概要

【基本情報】 ・ タイトル:The Theory of Moral Sentiments(道徳感情論) ・ 著者:Adam Smith (1723-1790) ・ 初版:1759年 ・ 最終版:第6版(1790年)← 著者の最晩年の改訂版 ・ ページ数:約322ページ(英語版) 【入手・参照方法】 ・ オンライン版:PDF (ibiblio.org) ・ 抽出方法:setup-moral-sentiments.md ・ スクリプト: - extract_moral_sentiments.py (概要抽出) - extract_pdf_full.py (全文抽出) 【中心的な概念】Sympathy(共感) - 他者の感情を想像的に共有する能力 - 道徳判断の基礎 ・ Impartial Spectator(公平な観察者) - 内なる良心 - 第三者的視点からの自己評価 ・ Propriety(固有性・適切さ) - 行動が状況に相応しいかどうかの判断 ・ Merit and Demerit(功績と罪過) - 報酬と処罰の道徳的基礎

■ 構成と重要概念

Part I: Of the Propriety of Action(行動の固有性について) Section I: 共感の感覚について (Of the Sense of Propriety) - Ch.I: 共感について (Of Sympathy) - Ch.II: 相互共感の喜び - Ch.III: 他者の感情の適切さの判断 - Ch.IV: 同じ主題の続き - Ch.V: 愛すべき徳と尊敬すべき徳 Section II: 様々な情念の程度について - 身体に起因する情念 - 想像力に起因する情念 - 非社交的な情念(怒り、憎しみ) - 社交的な情念(愛、友情) - 利己的な情念 Section III: 繁栄と逆境が判断に及ぼす影響 - 富裕層への称賛、貧困層への軽視 - 野心の起源と身分の区別 - 道徳感情の腐敗 Part II: Of Merit and Demerit(功績と罪過について) Section I: 功績と罪過の感覚 - 感謝の対象は報酬に値する - 憤りの対象は処罰に値する Section II: 正義と善行について (Of Justice and Beneficence) - 2つの徳の比較 - 正義の感覚、良心、功績の意識 - この自然の構成の効用 Section III: 運命の影響 - 結果が道徳判断に与える影響 Part III: 自己判断の基礎と義務の感覚 - 自己承認と自己非承認の原理 - 称賛への愛 vs 称賛に値することへの愛 - 良心の影響と権威 - 自己欺瞞の本質 - 道徳の一般的規則 - 義務の感覚 Part IV: 効用の影響 - 芸術作品における効用の美 - 人間の性格と行動における効用の美 Part V: 慣習と流行の影響 - 美と醜の概念への影響 - 道徳感情への影響 Part VI: 徳の性格について Section I: 慎慮 (Prudence) - 自己の幸福 Section II: 他者の幸福に影響する性格 - 個人への配慮の順序 - 社会への善行の順序 - 普遍的博愛 Section III: 自制心 (Self-command) Part VII: 道徳哲学の諸体系 - 徳の本質に関する様々な理論 - 固有性に基づく体系(プラトン、アリストテレス、ストア派) - 慎慮に基づく体系 - 博愛に基づく体系 - 承認の原理に関する体系 - 自己愛から導く体系 - 理性を原理とする体系 - 感情を原理とする体系

■ 学習メモ・気づき

【2025-12-29】準備段階 ・ PDFの入手と抽出環境の整備 ・ 問題意識の整理 - マクロな国際問題(ウクライナ、台湾) - ミクロなコミュニティ問題(自治会運営) - 両者に共通する「倫理と責任」の問題 【2026-01-10】応用例の整備具体的な応用例のページ構造を作成 ・ 第1例:自治会のゴミ集積所運営 - 理論を実践的に理解するための具体例 - 共感、公平な観察者、正義と善行、自制心の適用 - 日常的な問題に潜む倫理学の核心的な問いの発見 【今後の学習計画】 ・ Part I(共感の原理)の精読 ・ 「公平な観察者」概念の深い理解 ・ 現代の具体的事例への適用(応用例ページで実践) ・ 本荘さんとの対話を通じた理解の深化 --- ← 2026-01-08 対話メモに戻る